メタバースの課題と今後の見通し

メタバースに関係した課題の1つは、法律やルールの整備が十分行われていないことです。
現在の法令は、仮想空間での商取引を想定していないので、トラブルが起きた時に現行の法律で対応することが難しいこともあります。
知的財産法やデータ法、電子商取引に関するルールなどを、メタバース内の取引についてどのように適用するのかを議論していく必要があります。

もう1つは、VRデバイスがあまり普及していないという点です。
VRデバイスはメタバースに必ずしも必要な物ではありませんが、VRデバイスを使用することで没入感がアップし、メタバースの魅力を満喫することができます。
そんなVRデバイスが普及しないのは、比較的高価であるからです。
価格がもう少し安くなったら、購入者も増え、メタバースに対する満足度がアップし、さらに普及する可能性があります。

3つ目の課題は、仮想空間の世界に対する依存が高まりやすいことです。
仮想空間で簡単にコミュニケーションが取れるようになると仮想空間に入り浸ってしまう人も出てきて、現実の世界でのコミュニケーションの機会が少なくなる、あるいはうまくいかなくなるという危険性が考えられます。

こうした課題はあるものの、メタバース事業に参入する企業が増えており、今後も市場規模が拡大することが予想されています。
たとえば医療の分野での活用も検討されており、来院前に病院を仮想体験できたり、外出が困難な入院患者が仮想空間で家族と会話できるということも可能になるかもしれません。